書籍の要約ブログ(BOOK ABSTRACT)

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「飲まない生き方 ソバーキュアリス」 ルビー・ウォリントン著 永井二菜約 (方丈社)

  • 「飲まない生き方 ソバーキュアリス」 ルビー・ウォリントン著 永井二菜約 (方丈社)

     (全315ページ 1600円)

     読書期間:2023年1月5日~2023年1月9日 



    • 最近、世界(特にアメリカやヨーロッパのZ世代等)が注目する新しいライフスタイルとされている「ソバーキュリアス」(※)の原点となる著書 (※)著者の発案によるムーブメントとなっている社会現象

    • 「ソバーキュリアス」とは、アルコールを(飲めるけど、あるいは飲む場合もあるけど)敢えて飲まないスタイルのこと

    • ソバー(sober:しらふ)にキュリアス(curious:好奇心を持って)ということで、アルコールに酔っていない状態(しらふ、素面)に好奇心を持って注目すると、じつは素面の状態こそが最高であり、ほろ酔いも含めて酔った状態は、とうてい素面には勝てないということがわかってくるが理解できると説く

    • 酔った状態になると、素面での高揚した感情や満ち足りた素晴らしい状態を追体験することができ、酔うことは高揚した感情や満ち足りた素晴らしい状態であると勘違いしてしまう。しかし、高揚した感情や満ち足りた素晴らしい状態は素面でしか新たに経験し得ないことに気づくことが重要。(なお、最高の気分を手軽に反芻できるアルコールには代償があり、しばしば二日酔いや記憶の喪失、各種の病気を引き起こす原因となる)

    • どんなときに飲みたくなるか。あるいは飲む機会があるか。それは人それぞれではあるが、例えば仕事が一段落したときの息抜きや一時的なストレスを受けたときの憂さ晴らし、もしくは重い場合は劣等感やトラウマのフラッシュバックを消し去りたいときかもしれない。あるいは、懇親会、接待等人と人がコミュニケーションを図るときなどが代表例である。

    • まず前者の息抜きや憂さ晴らしに代表されるアルコール摂取については、素面のときのよい状態を追体験するだけであり、本当に息抜きになったりうさを晴らしているわけではないため根本解決には程遠い。したがって、疲れやストレスは取れないし、トラウマを乗り越えることはできない。手軽に追体験で、嫌なことを一時的に忘却できるかもしれないが、二日酔い等の代償もある。

    • では、息抜きやストレス発散等はどうすれば良いのか。それは素面の状態でメディテーション(瞑想)やヨガ等により感覚(五感)に集中することにより雑念を取り除くことである。あるいは、軽い運動や音楽を聞いたり睡眠を取ることである。(素面でのリフレッシュ方法は人それぞれである)

    • 後者の人と人がコミュニケーションを図る懇親会等の場でのアルコール摂取については、自分の心を閉ざす警戒心や積極性を自分自身が得たいと思うことであったり、反対に相手の素の心を聞き出すためにアルコールを飲ませることを動機としている。

    • しかし、積極的にコミュニケーションを図るためのアルコール摂取は人間関係の失敗を招く機会を作る恐れもあり、相手に心を開かせるつもりであっても、酔っている状態だと正しく分析したり判断したりすることができず、素面のコミュニケーション以上の質を得ることはできない

    • どんな時にアルコールが欲しくなるか(アル恋) 人それぞれであるため、しっかり観察、認識して記録し顧みることは非常に重要である。

    • ソバーキュリアスは、いわゆる今までの考え方の禁酒・断酒ではない。

    • 今までの禁酒・断酒は、飲みたいが禁じる。または、金輪際一切飲まないという考え方である。

    • ソバーキュリアスは、飲みたいけど飲まないのではなく、素面の状態が何より最高であるから飲まないのであり、例えばお酒が振舞われる懇親会にも参加するし、始めの乾杯の一口ぐらいは(人なめぐらいは)飲むという考え方である。

    • ただし、アルコール依存の医学的見地から明らかなように、程々に飲む、ということはできないことを心に強く刻む必要がある。程々に飲むとは少しほろ酔いになるということであり、ほろ酔いでも飲んでしまうと程々以上に飲んでしまうことは必至であり、ソバーキュリアス(酔わないことが最高の状態)とは言えない。

    • 著者はイギリス人女性で年齢は公表されていないが50歳程度であると思う。著書では実体験もたくさん綴っているが、日本の文化では極端なシチュエーションである場合が多く一般的とはいえないだろう。また、生い立ち的にトラウマを持ち、(海外ならではの)ドラッグ依存症の時期もあったようだ。ただ、著者について、平日は飲まず週末のアルコール摂取を楽しみに過ごすということからも、記憶が飛んだり二日酔いがひどいとは言え、極度のアルコール依存症ではないようだ。

    • 著者は医者でも学者ではないため、実体験や自らのひらめき、思想を綴っている本書であるが、共感すべき点や啓示を与えられる点については読者が自分自身の体験や思想に照らし合わせて思考し、自らの思考・思想を高めることが重要である(高めることができる著書である)

    • ソバーキュリアスという言葉を生み、一時的なブームからムーブメントとなった行動規範・思想哲学は何らかの真実を含んでいると考えられる。事実、ノンアルコール飲料市場が急激に拡大し、ノンアルコール梅酒(まるでハンバーグ抜きハンバーガー)など冗談のようなドリンクが商品化され、ノンアルコール専門のカクテルバーが現れるなど市場(経済活動)にも大きな影響を与えている。

    • アルコール摂取で得られる絆、感動、リラックス、その他諸々については、全て(冴えた頭の)素面で得ることができる。それも本物の絆、感動、リラックスである。なお、アルコールによるそれらはすべて素面でのユーフォリック・リコール(幸せの追体験)である。

    • ただし、素面で絆、感動、リラックス、その他諸々ユーフォリック(幸福な)リコール(追体験)をするためには、アルコールを摂取するだけよりそれなりの工夫が必要である。アルコールを断つだけでをするだで得られるものではなく、アルコールを断つだけでいっときの不快感(二日酔い、その他飲み過ぎに関する多くのこと)が解消するだけでのため自粛疲れとなって、再飲酒習慣につながる。

    • 真骨頂は、ソバーキュリアン(ソバーキュリストを実行する人)としてお酒の席にどう対応するか。まず、お酒の席に出ないというのも解ではあるが、これだけアルコールが世の中に浸透している以上現実的には難しい。むしろ、ソバーキュリアンとしては積極的に参加すべき。

    • お酒の席でどうふるまうか。飲まなくて良いなら飲みたくないという自分の心に正直に従うべきだ。仮に、飲まざるを得ない乾杯の初めの一杯、あるいは飲みたいとおもったら、この一口、この一杯を飲む理由、飲んだ後のことなどを考えて、熟考したうえ判断する。飲むか飲まないかはソバーキュリアンとしては自由である。

    • お酒の席に積極的に出席し、お酒を飲む陽気な仲間たちと楽しく過ごすことは有益であるし、観察することもソバーキュリアスを続ける上で有益である。ただし、決してソバーキュリアスを宣伝・押し付けてはいけない。

    • アルコールは社交飲料の地位を不動のものとしている。アルコールは素面のクリアな頭脳で考えれば百害あって一利なしであっても、人類の歴史を振り返ってもこれからもこの地位は変わることはないだろう。社交飲料が潤滑油となって様々なアイデアや思想が生まれ、技術革新が進んだのも事実である。(コーヒーが社交飲料の時代もあった)

    • ソバーキュリアスは断酒会ではない。ライフスタイルである。ソバーキュリアンのための12のステップは以下の通り。(引用しているため、少し分かりにくいことが多いかもしれない)

    1.今すぐ始める 2.「ほどほどの飲酒」はない。一滴も飲まないのが基本(未来永劫ではない) 3.アルコールが欲しく(アル恋にかかったら)あらゆる角度から原因を考察する。 4.ソバキュリデビューによる利点を考察する。 5.お酒を悪者にしない。飲む理由と量の問題なのだ。 6.飲酒の批判や説教を慎む。 7.実験的に再飲酒したことはソバーキュリアスの正しさを再認識することと捉えること。 8.正直になること 9.サポータを見つけること。(サポータはソバーキュリアンである必要はない) 10.自分の感情を認識する(「私は今XXXを感じている」など。) 11.スピリッツをスピリットに置き換えて、ほろ酔いよりも素面でのメディテーションを実行する。 12.生きていることに感謝し、大志を抱くこと。


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    全315ページと分厚い本であるが、書いていることは以上の内容である。

    著者の体験、見解等を綴っているため分厚くなっているが、楽しく読める文体・内容となっているため、考えながら、想像しながら読書を進めることができるし、時折読み返して見るのも悪くないと思う。(購入して手元に置いておいてお良いと思う)

        ★次回は 1月22日(日) 20:00 更新予定

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